都営住宅も老朽化で建て替えが始まりました。現在では各区内の都営住宅も長屋形式の昔のものから3階建てのマンション風に変わっています。新宿区の都営住宅では古い建物がすでに5階建てで新しい建物は10階建てなどの立派なものもあります。このような建て替えのため前の住居ではどうしてもおかしな輩がウロチョロします。要するにすでに空室の部屋は誰も住んでいないのがわかっていますが、まだ残っている住人が居ると入り口の閉鎖などはできません。この時期はどうしても同じことを考えるのです。だれも居なくてゴミはどおせ建て替えなので残しても処分されます。そうした品々をこっそり忍び込んで拝借してしまおうと考えるわけです。結構大きなものを運んでも他人には違和感がありません。建て替えのため荷物を搬出する光景は不自然ではないのです。
 ある時に百人町の都営アパートの旧舎屋で荷物の搬出作業をしていました。階段での搬出なので非常に大変な作業でした。そんな中、怪しい輩がトラックの付近でうろついているのです。明らかに空室の残っている荷物をあさりに来ているのです。この調子だとトラックに載せてある荷物も持って行かれる恐れがあります。こちらは一人で作業をしていますので、お客様の部屋に向かうとトラックは荷台を開けたままで無人になってしまいます。3階の部屋から搬出していましたので、その間に持ち逃げされてしまえば取り返しがつきません。そこでこの怪しい中年男が居なくなるのを待ってトラックで少々待機しました。しかしこの男の徘徊は治まりませんでした。そこでこのままでは搬出作業が中断されてしまうのでこの中年男に声を掛けました。「おいお前、向こうに行ってくれないか?このままじゃ荷物の積み込み出来ないじゃないか。」こちらには不労者にしか見えないのです。はっきり本心を言ってやりました。するとこの男が言い返しました。「ふぁざけんじゃねーよ。おれは乞食なんかじゃねーよ。」しかしウロチョロするを辞めません。少々観察するとどうやら他人の命令で荷物の拝借を命じられていたようでした。他人の空室の物を勝手に持って行っているのは間違えないようです。しかしこの男曰く、他人も物を盗むような泥棒では無いというのです。「でもお前がいると引っ越し作業できない。消えろ!」とはっきり再度言いました。完全に怒っていましたが、こちらの迷惑さがわかったようでやっと立ち去ってくれました。幸いにもお客様の荷物は最後の方は大きな家具系ばかりだったので持ち逃げされることはありませんでした。
 この日は無事に何もなく引っ越し作業は終了しましたが、このような警戒は実は何回も盗難に遭っているためです。お客様が前日に荷造りしておいた段ボール箱をマンション通路に出して置いたらカメラだけを盗んでいった窃盗、道路にCDを出しておいたら1枚だけ取っていった置き引き、(荷造りをしっかりしないお客様も一因。中身が見えては荷造りにあらず!)助手席のカバンを助手席のドアをあけて持って行ったコソ泥、(これは3回あり、すべて警察に届けたがカバンのみが返された。元々金銭は無いが警察は犯人捜しをしない!)実に引っ越し作業中での盗難が多いのです。ほんの一瞬を狙って荷物を持って部屋に向かった瞬間を狙うのです。世界中から見ればこれでも日本は治安の良い国というのは本当でしょうか?スーパーでの万引きが絶えないのもわかります。国民総犯罪者と思わないといけないのです。

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 哲学堂公園から撮影した妙正寺川の調整池。雨が降らないと無駄な空間にしか見えない。しかし洪水防止に有効なのは確実。