春先の引っ越しシーズンには地方の実家へ帰る方が非常に多いのです。勿論、春先以外にも人生は色々紆余曲折が付き物ですから突然実家に帰る方もいらっしゃいます。地方でも地方都市ではそれほど東京とライフスタイルは変わりません。チェーン店は今や全国区が多いですし、実家がサラリーマンでしたら自宅の近所のスーパーで買い物して普通に生活するのは地方都市でも何ら変わらないのです。しかし地方でも農村部は全然違います。違いは住宅の大きさや敷地の広さもありますが、おもてなしがものすごいのです。農家の方は引っ越しで訪ねると何らかの農産物を差し入れするのです。現地に到着するまではお客様の実家が農家かは判別できません。実際に地方へ行ってもほとんどが都市部に実家がありますので、事前に期待など出来るものではありません。過去の印象深いお客様は非常に記憶に残っています。出荷時に季節が合えばどうしても傷物は自宅で消費するのが通例ですので農家に取ってはそれほど金銭的損失は無いのでしょう。例えば秋に長野県の農村地に引っ越された方は、リンゴと柿のオンパレードでした。もちろん青果店で陳列は出来ません。すべてはそれなりのキズはあります。しかし味には違いは無いのです。おししいフルーツがコンビニ袋2袋程度頂きました。帰りがけの車内で早速食べたのは当然です。伊豆半島の柑橘農家も同様で、到着時に丁度お客様のお父様が傷物の選別作業を行っていました。その選別されたばかりの柑橘系の果物4種類程度をすべて差し出してきました。コンビニ袋で3つもあり量もすごいのですが普段買わない種類の柑橘系だったので珍しさもあり非常にありがたい記憶があります。前橋のキュウリ農家も量がものすごかった記憶があります。今はキュウリは一年中栽培されていますが、やはり夏野菜です。午後に引っ越しを開始したためにお客様の実家に到着したころにはすでに暗くなっていましたが、お客様のご両親は実家で消費する分のキュウリを適当に持ってきました。「今農協に出荷した後なのでこれしか無いの。」と言っていましたがその量は食べきれる量ではありませんでした。大きめのコンビニ袋に詰めるだけ詰め込んで持ってきました。50本以上はあったと思います。もちろんこれらも出荷不可能な曲がったきゅうりです。しかし味は真っすぐな物と違うわけないのです。このキュウリは多すぎましたので翌日以降にチラシ配布バイトの方に補充チラシと一緒に届けてあげました。別の場所では帰りがけに待たされた事もありました。茨城県の農家なのですが、到着は丁度午後の昼過ぎで農作業は行っていませんでしたが、引っ越し荷物を搬入後に帰ろうとしたところ、「帰らないで、ちょっと待ってて!」とお客様の母親が言うのです。理由がわからなかったのですが、10分程度待っていると、モンペ姿のお客様のお母さまが掘りたてのじゃがいも、人参、その他を泥つきのままの野菜を抱えて持ってきたのです。そして「これくらいで足りる?もっと掘ってこようか。」と言うのです。農家の方はどうしてこうなんでしょう。今ある分量でも1週間は持つ量があります。わざわざ袋に入れてくれて掘りたての新鮮野菜を数日間いただく事ができました。過去に一番ひどい(量が多い)のは福島の農家の方です。福島県は距離があるので前日にトラックへの搬出は済ませてあり、早朝に東京を出発したので到着は朝の9時頃でした。実家へ搬入も簡単に終わらせ帰り際間際です。「ネギでも持って行かない。」とお客様のお母様が言うのです。このお宅の玄関先には農協へ出荷準備前という光景が到着時に目に入っていました。荒縄で束ねた長ネギが数束並べてありました。1束が何本位かは勘定出来ない量がありましたが、この人束を持って行きなさいと言うのです。少なく見積もっても50本以上はあったでしょうか、明らかに出荷用の新鮮なネギで決してキズものではありません。もちろん「多すぎでしょう。」と言いましたがわざわざ束ねてあるネギをバラすのも大変なので結局この1束のネギをいただいてきました。日持ちするネギでもこの50本以上のネギでは自宅だけでは消費できません。実はこの日の午後のお客様は先日引っ越しを行ったばかりのフランス料理店経営のお客様の彼女の引っ越しでした。午後の引っ越し先に到着したら彼氏も手伝いに来てました。フランス料理と長ネギは結びつくかは疑問でしたが、お店で使えるかどうか尋ねると、「十分使える。」との事でしたので半分をこのフランス料理店の主人に差し上げました。それでも自宅には20本以上の長ネギが残りました。太くてよいネギだったので食べ応えがあったのは当然です。こんな事がたまにあるので地方へ引っ越しの依頼が入ると何か不思議とワクワクしてしまうのです。農家のみなさん、たいへんありがとうございます。

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 哲学堂公園の池の横にある洞窟みたいな穴は太陽光が強すぎて案内板の文字が読めなかった。悪しからず!