寿命は生物だけではありません。自動車もいずれは寿命が来ます。しかし軽トラックのメーカーの設計上の寿命は20万kmです。10万km程度ではまだまだ働いてもらわなければならない距離です。この日は大阪の中央区で13時の時間指定の荷物を運んでいました。距離も10万kmを超えていたトラックですが、最近は少々エンジンが調子よくなかったのには気づいていました。そこで大阪の長距離の輸送の最中にエンジントラブルを起こしたら大変なので、前日にディーラーに症状を告げて点検に出していました。特に問題は見つからないという事でしたので夜中の3時に家を出発しました。荷物は前日の夕方に積み込み済みでしたので、軽トラックだとスピードは出ませんので大体9時間は要します。3時に出れば13時には十分間に合う計算です。仕事ではありますが結構楽しみな長距離ドライブです。ルンルン気分で出発したのです。しかしこの気分はすぐに不安に変わってしまいました。真夜中を走行中なのですが、東名の東京インターを入る手前ですでに以前の調子悪さが表れたのです。点検に出してお墨付きと思っていましたが、全然症状の改善はされていませんでした。しかし夜中の4時前後では何もできません。とりあえす走るしかありません。東名高速を西へひたすら走りました。元々80km/h以上は出さないのですが、今日は出さないのではなくて出せないのです。踏みっぱなしで70km/hが限界なのです。全然エンジンが吹きあがりません。しかしすでにどうすることも出来ないので3車線の一番左車線をゆっくり走行し続けました。夜中の東名高速は大型トラックの天国です。何台もの大型車両がトロトロ走る軽トラックを追い抜いていきます。厚木を過ぎて段々山道になってきます。すると上り坂では60km/hが出なくなってきました。もうこのままでは大阪まではたどり着けない気配をすでに感じていました。この先は3車線が2車線になる場所でした。流石に夜中に60㎞/hでは後続車に迷惑な速度です。さらに裾野までくると長い上り坂になるのです。もう50㎞/hが出なくなってきました。最低速度違反の速度です。この速度では後続の大型トラックがクラクションを鳴らす速度です。パッシングとクラクションが後ろから聞こえてきます。外見には居眠り運転にしか見えなかった事でしょう。しかしまだかすかにエンジンは動いています。ベタ踏み状態でやっと東名高速の最高標高場所を通過しました。今度は逆に長い下り坂になります。惰力で70㎞/hまでは復活しました。しかし残念な事に遂に途中でエンストしてしまいました。もう完全に大阪までの到着は不可能です。エンジンが動かない状態ですが、何とか沼津インターまでたどり着きましたので、料金所のまでの一方通行の道の路肩で停車して、JAFを呼びました。大阪までの道のりの半分にも達していないのにもう完全に車は動きません。JAFが到着後も応急処置での走行も不可能という事でしたので、レッカー車で沼津市内の早朝でも連絡がついたレンターカー店まで運んでもらいました。時間は朝の7時前後になってしまいました。レンタカー店は8時からの営業という事でしたのでホンダのアクティーバンを借りて荷物を乗せ換えて再出発しました。しかし沼津を8時過ぎに出ても、すでに13時に大阪納品は不可能な時間です。荷主の会社の営業が始まる9時過ぎに荷主の担当者に連絡をして、納品を15時に変更してもらいました。商品は精密機器で接続とセッティングを大阪の支社の従業員が行う手はずでしたが、車両の故障という事で了承してもらいました。さらにレンタカー店に残っているのは走らないトラックです。東京で点検してもらったディーラーに連絡したところこの故障は当店の原因ですので、故障車両の搬送は無料でディーラーが行う事になりました。また沼津から東京までの移動は東京から代車を輸送するのでその車両で帰れるように手配するとの事でした。ゆえに残りの大阪までの輸送は安心感を持って遂行できました。かなり時間的には厳しかったのですが、何とか15時の延長された指定納品時間には間に合わせる事が出来ました。あとはアクティーバンを沼津のレンタカー店に返すためにひたすら走り続けるだけです。何とかレンタカー店の閉店時間にはギリギリ間に合いました。するとレンタカー店に置いてあった帰るための自動車を見たところ、ナント当店の屋号がしっかり入っている新車の軽トラックが置いてあったのです。実は2台体制にするために新車を買っていたのですが、納車日は翌日だったのです。この故障を機に納車日を無理やり1日早めたらしいのです。キャリアカーに新車を積んで沼津まで来て、その代わりに壊れたトラックを載せてディーラーまで運んだようです。まさかの代車が自身で買った新車だったのはビックリです。東京で新車を買って納車場所が沼津の客は過去にも今後も無いのではないでしょうか。翌日からの仕事はこの新車での仕事になりました。特に年式以外は違いが無いのですが、普通に走ることが実に爽快なことが実感できました。時間はすでに翌日の夜中でしたが・・・!
 後日、壊れていたトラックの修理が終わって返ってきました。エンジン内のスラッジが多すぎで、オーバーホール以外修繕方法が無かったようで、結局中古のエンジンが中古部品屋に丁度あったらしいので、エンジン全取り換えで帰ってきました。こちらもエンジンだけは新車状態です。スラッジの多さはエンジンオイル添加剤を入れていたので小まめにオイル交換を行わなかったのが原因だと思われます。ディーラーも添加剤は効果が無いことが経験上わかっていたようで、結局その後はエンジンオイル交換時期を長くさせる添加剤の販売は無くなってしまいました。これを機に5000km毎でのオイル交換は欠かしていません。あのエンジンオイル添加剤はまったく意味のない製品だったことは納得できました。

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 哲学堂公園の入り口です。哲理門(妖怪門)とあります。DSCF5536
 門の両側に妖怪がいる。恐ろしい!